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2017年01月28日

その時に起きたこと

それまでのこの日のタスクは充実していた。
スタートが大きく出遅れ、少数の集団電でトップとは違うコースを通っていたのだが、
そのグループが、世界のトップクラスのパイロット、シャル、ジュリアン、フランシスコと私の4機。
これはいい。

すごいスピード感で、遅れたトップグループに別ルートで一気に追いつく。
これが前半戦。

次のターンポイントを取った時にはトップグループに追いつき、
一気にその先頭にとりつく。

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ここで高度は2000mと、日に日に最高高度が上がっていくサーマルに乗って先に進む。

そしてそこにこの日の落とし穴があった。

そのパイロットは私と同じサーマルにいた。
しかし、私より100m近く高いところにいたらしい。
旋回して上昇している私には視認が難しいとこにいた。

そのパイロットはサーマルに弾かれたと同時にグライダーがコラップス(翼が潰れて、翼の端っこがラインに巻き付いてしまう状態)
になり、何を思ったか、サーマルを出ずに治そうとした。結果グライダーは残った翼がスピードを増し、それに驚いたパイロットは
コントロールして今度はストールに入れる。

同高度、または近くにいたパイロットは翼がつぶれたそのグライダーを視認して当然逃げた。
しかし、低いとこから強いサーマルにグライダーをフルバンクさせている状態の私にそれは気づきようもなかった。

それに気が付いたのはそのインパクトから1秒前。
「あ!」そこから何かを考える前にパイロットの体は私のグライダを裂いていた。

バン!ブチブチブチ!!!

破裂音

「突っ込まれた」 「フリーフォールになる」 「グライダーは回復不能状態だ」
「レスキュー」 「回転するか?」 
そんな思いが一瞬のうちに頭によぎる。

一瞬浮いてそのあとフリーフォールになり、そのあとすぐに裂けたグライダーが生き返り振り回されるように猛烈に回転。
右手のレスキューはだめだ。
左手のレスキューに手を伸ばす。

頭はすごく冷静。

グライダーが回転してるが、何とかフリーフォールにならずに済んだ。
レスキューを投げる。

なかなか開かない。
自分の回転に巻き込まれている。

ポンピングの要領でレスキューを引っ張る。
ダメなら二つ目。
右手は再びレスキュートグル(緊急パラシュートを引き抜くためのハンドル)を握る。

開いた。

グライダーは3つに裂けていた。

地上からは1800m以上。
後はレスキューパラシュートに任せて沈下するだけ。

ぶつかった奴もレスキューを開いたようだ。
距離はあるが落ちていくのが見える。

見上げると、今まで一緒に飛んでいたトップ集団が高いところで旋回している。
裂けたグライダーがくるくるとその場を回りながら、レスキューパラシュートに絡みつこうとする。

最悪、もう一方も投げることを考えておく。

地上を見下ろす。
どこに降りるかは決めることができない。

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木、岩、草原、草地、広がっている景色。
ケガをしないように軽く体をぶらぶらと振って硬くならないようにしておく。

そして、降りたのは牛のいる草地だった。
これはラッキーだった。

衝撃も強くなく、体の力を抜いて転がらる。
無傷。

ほっと息を吐く。

考えていたのは自分の体のチェックと、無線で無事を伝えること。
そしてハーネスを取ってグライダーを見てみる。

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今まで散々いろいろな空を一緒に飛んできた相棒が無残な姿になってしまった。

ただ、体もほかのハーネスやらレスキューやらは無事。
不幸中の幸いとはこのことか。

突っ込んできたパイロットはまだ若いパイロット。
「本当に申し訳ない」と謝ってきた。

俺が殴り掛かるとでも思ったのかオドオドとしてショックを受けているようだった。

「仕方ない。俺も君も怪我がなかったのが一番だろ?」
そう答えるしかなかった。

ここにきて調子もよくなってきた(とはいっても上位入賞はできないのだけれど)ところだっただけに、
もう何か悪いものを出し切っているような気がする。
一緒に飛んでいたグループはそのままトップゴールしていた。

わかってる。体が無事でケガ一つしていないことがどんなにラッキーかを。
それでもやっぱり悔しい。

今回の大会、一つもこれといった成績を出していない。
だから悔しい。

回収された後、多くのトップパイロットたちが声をかけてくれた。
そして、明日の最終日に飛ぶグライダーの提供を申し出てくれた多くの仲間に感謝。

明日は最終日。
最後のフライトを思いっきり飛んできます。
posted by Yoshiki at 10:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 競技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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